小児期の近視発症・進行抑制、眼鏡やコンタクトレンズなどの最適な矯正方法、屈折矯正手術、成人以後の強度近視など、これまでどこを受診したらよいのか迷われていたことと思いますが、近視に関するお悩みは慶應義塾大学医学部眼科学教室の近視総合診療・研究部門へ御相談下さい。
近視とは、無調節の状態で眼に入る平行光線が網膜の前方で結像する眼の屈折状態をさし、そのほとんどは眼の奥行き(眼軸長)が長くなっています。
また、近視の原因は不明であり、世界の近視人口は増加の一途をたどり(Holden BA. et al. Ophthalmology. 2016)、東京でも我々の調査では小学生の7割以上、中学生の9割以上が近視でした(Yotsukura E. Torii H. et al. JAMA Ophthalmol. 2019)。
厚生労働省研究班によって行われた視覚障害原因の疫学調査(厚労省平成17年度研究報告書)によると失明者(視覚障害1級)の原因疾患は、緑内障25.5%、糖尿病網膜症21.0%、網膜色素変性症8.8%、強度近視6.5%という結果であり、強度近視が失明原因疾患の第4位でした。またTajimi Studyでも、WHOの定義による失明(矯正視力<0.05)の原因疾患として、強度近視は約2割を占め、第1位の失明原因でした(Iwase A et al. Ophthalmology. 2006)。さらに、強度近視への移行を防ぐには小さい頃からの介入が重要である可能性も示され(Chua SY. et al. Ophthalmic Physiol Opt. 2016)、幼少期からの近視進行抑制が重要である可能性もわかってきました。このように患者様からのニーズが高いにも関わらず、これまで近視発症・進行抑制から屈折矯正手術、白内障手術までの一貫した部門がなかったこと、基礎研究と臨床研究の橋渡し研究のさらなるスムース化を図ること、などの背景から慶應義塾大学医学部眼科学教室では近視総合診療・研究部門を2021年より立ち上げました。
①屈折矯正手術部門 ②学童近視部門 ③オルソケラトロジー部門 ④強度近視部門 ⑤予防疫学研究部門 ⑥近視生物学研究部門から構成されます。