慶應義塾大学医学部 眼科学教室
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近視総合

強度近視部門

強度近視部門

外来日 金曜日午後
担当医師 栗原俊英、内田敦郎、篠島亜里、森紀和子

Division of High Myopia

Chief Toshihide Kurihara
Members Toshihide Kurihara, Atsuro Uchida, Ari Shinojima, Kiwako Mori
Specialty Myopia, High myopia, Complications associated with myopia and high myopia (Myopic optic neuropathy, glaucoma, Myopic choroidal neovascularization, Myopic maculopathy, Retinoschisis, Retinal detachment, Macular hole, etc.)

強度近視とは

強度近視とは近視の程度が強くなることで、-6.0D(ディオプター:屈折の単位)より強い近視と定義されています(日本近視学会、日本近視研究会)。近視だけでなく強度近視も世界中で増加しており、日本では40歳以上の成人の約5.0%を占めます(Mori K et al. J.Clin Med. 2019)。強度近視になると眼球の伸長および眼球も変形し、失明につながりうる眼疾患をきたすことがわかっています(図1)。また、これは近視が強くなるほど指数関数的に増加すると報告されています(Flitcroft DI. Prog Retin Eye Res. 2012)。

図1:左から、正視眼、眼軸長が過剰に伸長することによって起こる強度近視眼、強度近視に発症しやすい眼疾患。

強度近視進行抑制の重要性

そこで強度近視部門では、失明につながりうる眼疾患を発症させないために、こどもだけでなく成人の強度近視進行予防も重要です。いまのところ決定的な予防法はありませんが、近年近視進行抑制効果が証明され、サプリメントとして販売されている「クロセチン」にその効果が期待されています(Mori K, Torii H, Fujimoto S et al, J Clin Med . 2020)。強度近視に合併しやすい緑内障などの視神経疾患、脈絡膜新生血管を伴う黄斑疾患にも効果があると報告されています(Fernández-Albarral JA et al. Neural Regen Res. 2020)。近視の進行抑制目的だけでなく、合併症の発症予防のため内服が有効とされています。

図2:後部ぶどう腫(眼球の変形)の有無と眼疾患

定期的な強度近視検査の重要性

強度近視では眼軸長が長くなり眼球が変形することで、視機能に大切な視神経や黄斑部、網膜周辺部などが機械的に進展され、下記に示すような疾患が起こりえます。そのため、定期的な診察と検査が必要です。なお、眼球の変形の仕方によって発症しやすい疾患があることもわかってきています(Mimura R, Mori K et al. J Clin Med. 2019)(図2)。

強度近視と合併しやすい主な疾患と治療法

発症した場合、その疾患に応じた治療を行います。

1. 網膜剥離

網膜に穴ができ、そこから網膜がはがれてしまう病気です。強度近視では、眼球が過度に伸長するため起こりやすく、近視が強くなるほど発症率も高くなります。初期に黒いものが飛んでくる感覚(飛蚊症)があり、その後視野が欠けてきます(視野欠損)。そのままにすると失明に至ることがあるため手術を行います。

2. 黄斑円孔

ものを見るために重要な網膜の中心(黄斑)に穴が開いてしまう病気です。視野の中心が黒くものが見えないという症状(中心暗点)があります。黄斑円孔から網膜剥離が広がった状態が黄斑円孔網膜剥離です。いずれも視力回復のために手術を行います。

3. 網膜分離症

眼球が過度に伸長するため、網膜が眼球壁からはがれてしまう状態です。前述の網膜剥離や黄斑円孔などに移行する可能性があり、定期的な診察、検査が必要です。

4. 近視性脈絡膜新生血管症

脈絡膜に新生血管という病的な血管ができる病気で、強度近視の約5~10%に発症するといわれています。黄斑部に出血や浮腫(むくみ)が生じるため、ものがゆがんで見える(変視症)や中心暗点を自覚します。放置すると高度な視力低下に至るため、場合により、程度によっては、血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)を阻害する薬剤を眼内に注入(硝子体注射)して治療します。

5. 近視性視神経症、緑内障

視神経や神経線維が障害され視野が欠けてくる病気です。近視が強くなるほど発症率が高くなります。初期には自覚症状がないため定期的な検査が必要です。治療は主に点眼治療を行います。