光生物学研究室(Laboratory of Photobiology)
メンバー
チーフ : 栗原 俊英
メンバー : 鳥居 秀成、伴 紀充、富田 洋平、吉田 哲、池田 真一、今西 哲、四倉 絵里沙、堅田 侑作、丁 憲煜、國見 洋光、姜 効炎、清水 裕介、角田 和繁、森 紀和子、藤波 芳、篠島 亜里、三輪 幸裕、伊吹 麻里、正田 千穂、西村 直子、中田 直之、楊 麗珠、芹澤 奈保、康 龙丹、澤田 澪、曽根 康平、渋谷 倫子、山本 詩織、塩尻 良子、宮﨑 輝、阪口 久代、黒崎 香栄、佐藤 礼、張 琰、侯 靖、馬 子妍、陳 俊翰、李 德鎬、中井 郁華、楊 雅靜、施 珏、馮 瀟、張 元齢、王 珏、黒羽 小羊子、正好 奏斗、鈴木 遼、生方 紗貴、中井 遥希、冨滿 大暉、栗本 圭
研究テーマ
私たちの研究室では、光を受容する器官である網膜の臓器特性に立ち返り、光入力が生理的な組織代謝や概日時計を制御する機構を明らかにすることで、その破綻から生じる病態生理を見出し、新たな治療的介入を探索することを目的に、以下の3つのプロジェクトを中心に研究を行なっています。
研究キーワード | 低酸素応答、光遺伝学(オプトジェネティクス)、近視生物学 |
研究プロジェクト
- 光受容器である網膜の代謝応答
分子生物学の臨床応用が進み、診断・治療を行ううえで高度に発展を遂げた現在の眼科学においても、いまだ発症機序が不明あるいはアプローチが困難なことから治療方法が確立していない眼疾患がいくつか存在します。その中でも大きい割合を占めるのが網膜色素変性症・萎縮型加齢黄斑変性をはじめとする網膜変性疾患です。光受容を視覚応答に変換する網膜は、dark currentにより、生体内の中でも高度に代謝要求が高い組織として知られています。私たちはこれまで、網膜において低酸素誘導因子(HIF)が発生から病態生理にいたるまで重要な役割を担っていることを明らかにしてきました。本プロジェクトでは、HIFを含めたストレス応答因子を制御しうる新規化合物の探索から、これら疾患への初期から後期に至るまでの新たな介入方法の構築を目標とします。
- 光遺伝学を用いた視覚再生
網膜変性疾患では、治療が遅れ一度視細胞が失われれば視力は取り戻せません。また個々の疾患の原因は様々であっても、最終的な網膜変性の表現型は視細胞の欠失です。したがって、これまで分化した細胞や半導体チップ(人工網膜)を移植することでその機能を補う試みが行われてきました。近年、光遺伝学(オプトジェネティクス)の発展に伴い、特定の神経細胞に異所的に光活性化イオンチャンネルを発現させることで、細胞の神経活動を光刺激によってex vivo, in vivoで制御し、観察できるようになりました。本プロジェクトでは、この技術を応用することにより、残存した網膜内層の神経細胞を機能的に代替視細胞として利用し、失明した変性網膜の視覚機能を再生させることが本プロジェクトの目標です。
- 光環境と近視の発生・進行
これまでに行われた複数の疫学的調査から、屋外活動時間と近視進行が有意に逆相関していることが分かっています。本プロジェクトでは、実験動物モデルを用いた網羅的遺伝子解析から、光環境が近視進行に及ぼすメカニズムを分子レベルで明らかにし、予防的アプローチを構築することを目標とします。
代表論文†: corresponding author *: equally first
光受容器である網膜の代謝応答
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Retinal degeneration induced in a mouse model of ischemia–reperfusion injury and its management by pemafibrate treatment
Lee D, Nakai A, Miwa Y, Tomita Y, Kunimi H, Chen J, Ikeda SI, Tsubota K, Negishi K, Kurihara T†
FASEB J. 36(9) e22497. Aug. 2022
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Inhibition of the HIF-1α/BNIP3 pathway has a retinal neuroprotective effect.
Kunimi H, Lee D, Ibuki M, Katada Y, Negishi K, Tsubota K, Kurihara T†.
FASEB J. 35(8):e21829. Aug. 2021
光遺伝子を用いた視覚再生
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High-sensitivity vision restoration via ectopic expression of chimeric rhodopsin in mice.
Katada Y, Yoshida K, Kobayashi K, Okano H, Kandori H, Tsubota K, Kurihara T†
bioRxiv. doi.org/10.1101/2020.09.17.301523. Sep.20200
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Starburst amacrine cells amplify optogenetic visual restoration through gap junctions.
Katada Y, Kunimi H, Kobayashi K, Okano H, Tanaka K, Tsubota K, Kurihara T†
bioRxiv. doi.org/10.1101/2020.08.11.246686. Aug. 2020
光環境と近視の発生・進行
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Scleral PERK and ATF6 as targets of myopic axial elongation of mouse eyes
Ikeda SI, Kurihara T†, Jiang X, Miwa Y, Lee D, Serizawa N, Jeong H, Mori K, Katada Y, Kunimi H, Ozawa N, Shoda C, Ibuki M, Negishi K, Torii H, Tsubota K†
Nat Commun. 13(1):5859. Oct. 2022
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Vascular endothelial growth factor from retinal pigment epithelium is essential in choriocapillaris and axial length maintenance
Zhang Y*, Jeong H*, Mori K, Ikeda SI, Shoda C, Miwa Y, Nakai A, Chen J, Ma Z, Jiang X, Torii H, Kubota Y, Negishi K, Kurihara T†, Tsubota K†
PNAS Nexus. pgac166. Aug. 2022
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Lipidomic analysis revealed n‐3 polyunsaturated fatty acids suppressed choroidal thinning and myopia progression in mice.
Mori K*, Kuroha S*, Hou J, Jeong H, Ogawa M, Ikeda SI, Kang JX, Negishi K, Torii H, Arita M†, Kurihara T†, Tsubota K
FASEB J. 36(6):e22312. May. 2022
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Violet light suppresses lens-induced myopia via neuropsin (OPN5) in mice.
Jiang X*, Pardue MT*, Mori K, Ikeda SI, Torii H, D’Souza S, Lang RA, Kurihara T†, Tsubota K†
Proc Natl Acad Sci U S A. 118(22):e2018840118. Jun. 2021