慶應義塾大学医学部 眼科学教室
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私のキャリアパス

國見 洋光(2013年入局)

私は2011年に慶應義塾大学を卒業後、けいゆう病院で初期研修を修了しました。学生の時に坪田前教授はじめ眼科の素晴らしい先生方とお会いして、眼科入局は決めていました。けいゆう病院で眼科を選択し、眼科手術の奥深さを少し感じることができ、自身の選択が間違っていないことを確信して2013年に入局しました。当初は11名の同期に囲まれて心強かった記憶があります(写真1)。

がむしゃらに毎日新しいことを勉強して、ぐったりして夜は帰宅して寝るだけ、という生活が数か月続きました。でも、この最初のスタートでどれだけ頑張って仕事を覚えて知識をつけるかが、その後の眼科研修生活の質を決めると言っても過言ではありません。夏には外勤に行かせてもらえるようになりました。自分で診断治療することの責任を感じ、その場その場で勉強したこともありました。入局2年目になると、すでに同期は私含めて4人だけとなり、みんな出向先病院で勤務していました。外病院で手術をどんどんやっている同期たちへ焦りを感じましたが、私には1学年下の先生たちへの教育という重大な仕事がありました。結果としては、「教えることで自分の理解も深まる」良い経験をさせていただきました。
さて、そんな中、ついに私にも初めての出向が決まりました。2年目の秋から日野市立病院でお世話になりました。ここでは自分の外来を持つこと、白内障手術の基本を学びました。2学年上の小林先生と二人だけで眼科をやっていく不安以上に、甘えていられないという気持ちが強かったです。手術に関しては、けいゆう病院から細田先生が隔週でいらしてくださり、基本を叩き込んでいただきました。週末は趣味のロードバイク三昧で、日野から近い山々に朝から一人でトレーニングに行くことがストレス発散になっていました(写真2)。

写真1. 入局時に坪田前教授と同期。こんなに同期が多かったんですね。

写真2. ロードバイクを教えてもらったのも細田先生なのです。

日野市立病院での1年半で白内障250件を執刀し、外来もなんとか回せるようになって自信がでてきたころ、次の自分のキャリアを考えるきっかけがありました。当時人事担当の篠田先生から「大学院考えてないの?」とメールをいただきました。正直、まったく考えていなかった研究の道。そもそも大学院って何するところなんだ?と調べたぐらいです。「大学院。博士号」。なんかかっこいいじゃん、という安直な考えで、栗原先生ラボに飛び込みました。
眼科入局4年目から4年間の大学院生活が始まりました。最初の1年は、本当に何も知らず、ミーティングでは会話が成り立たない、道具の使い方が分からずスタッフに怒られる、論文読むのに時間がかかりすぎて実験できない、そんな日々でした。海外学会であるARVOにも毎年のように参加し、自分の小さいデータをいかに誇張して伝えるか、ポスター作りも必死でした(写真3, 4)。

写真3. シアトルのARVO。まだ研究開始1ヶ月で、なにがなんだかわからない頃。

写真4. バンクーバーARVO。シアトルから3年。少し研究者っぽくなった、のか?遊んでばかりに見えますが、日中はちゃんと会場にいます。

3年目くらいから少しずつ「研究生活ってこんなかんじ」とリズムができてきました。ラボに入った当初は毎日のように後悔していましたが、この頃には、自分で実験方法や時間を決めて仕事を進めていくことに慣れて、緊急手術や当直がない生活も悪くないなと思っていました(写真5)。

研究していることに関してはこの世で自分しか知らない結果だと思うと、自主性も出てきて栗原先生とのディスカッションも楽しさがありました。とは言いましたが、栗原先生にはいつもご指導いただき、どうにかこうにか4年で論文も出せて、無事に卒業できました(写真6)。

写真5. 大学院4年目の日本眼科学会総会。だいぶ発表にも慣れてきました。

写真6. 同じラボで同期でやらせていただいた3名の先生方と。

写真7. 埼玉病院入職時。
コロナウィルス全盛期のため、写真もマスクです。

研究生活はしっかりと自由な時間もあり、プライベートでは結婚もできて、実は結構楽しんでいました。ひとつだけ気がかりだったのは、4年間手術を含めた臨床をまったくしていなかったことによる遅れでした。外勤には週1日行かせてもらっていましたが、不安は大変大きいものでした。研究された経験のある先輩方は、「そんなのすぐ関係なくなるよ。」と仰っていましたが、さてどうなのか。
大学院卒業し国立病院機構埼玉病院に出向となりました。ここには私の希望で行かせてもらいました。そこには細田先生や部長の村松先生をはじめ、私より手術経験豊富な先輩方が数名いらっしゃり、もう大舟に乗ったつもりで入職しました(写真7)。

大学院入学時と同様で毎日ドキドキしていたのですが、アンチエイジングの観点からは、定期的に居場所を変えて、「毎日新鮮な経験」は重要かもしれません。4年ぶりの手術はまさかの初めての緑内障手術、線維柱帯切開術でした。白内障手術も徐々に思い出し、また硝子体手術も夏にはやらせてもらえるようになりました。最初の1年はとにかくがむしゃらに1件1件の手術から最大限のフィードバックを得られるように研究しました。理論的に考える癖ができていたのは研究生活の賜物でした。ここまで埼玉病院に来てから1年半経ちましたが、多い時で週5件程度の硝子体手術や緑内障手術をさせてもらい、年間300件以上の個人手術件数となっております。上級医からのフィードバックが毎日いただける埼玉病院で勉強しなければいけないことがまだまだ多く、これからも精進していきたいと思います。プライベートでも娘が生まれました。緊急手術がなければ6時すぎに帰宅できるため、平日の夜や週末には家族で過ごせることも埼玉病院の魅力だと思います。
私は眼科9年目ですが、こうやってキャリアを振り返ると、とても充実した良い経験をさせてもらえていると実感します。慶應義塾大学眼科学教室の懐の深さと、教室の先生方のご指導によりここまで成長できました。これから入局をお考えの先生方、ぜひとも一緒に最良の眼科生活を送りましょう。

埼玉メディカルセンターでの後期研修について

栗原 智樹(2017年入局)

慶大眼科入局2年目に埼玉メディカルセンターに出向してから3年が経ち、とても有意義な研修をさせて頂いています。特に、8人体制の恵まれたチームにおいて、上級医の先生方に丁寧なご指導を頂き、初めは自分で何もできない状態でしたが、多くの症例を自立してこなせるようになりました。
これまでに白内障手術を550件、網膜硝子体手術を80件、その他に緑内障・翼状片・脂肪ヘルニアなど多彩な手術を執刀させて頂きました。また、外来では週に60人以上の患者さんを診察しており、多くの症例を経験することによって知識や手技を身につけることができました。
埼玉メディカルセンターで構築した基盤を生かし、今後は小児の網膜硝子体手術ができる眼科医を目指しています。自分の夢に向かって全面的にサポートして下さっている慶大眼科の先生方のお陰で、近畿大学病院における国内留学を予定しており、最終的には国内外の小児網膜医療に貢献できるように頑張りたいと考えています。

東京歯科大学市川総合病院での後期研修について

三村 璃々子(2018年入局)

私が東京歯科大学市川総合病院眼科へ異動したのは後期研修1年目の秋で、一般診療や手術の経験は殆どない状態でした。気付けば早3年が経過し、様々な経験をさせていただきました。当院での後期研修について、外来、手術、研究の3本柱に沿って記したいと思います。
当院は前眼部疾患を専門としており全国でも有数の角膜移植を実施しているため、遠方からも手術目的で来院される方がたくさんいらっしゃいます。そして症例の多様性も特徴的で、教科書にわずかな記載しかないような稀少疾患も時に経験することができます。レジデントは日々の外来で初診患者さんの予診をとり、タイミングが合えばその後の指導医の本診察に立ち合います。また、外来終了後にはその日の外来患者で気になる症例や共有したい症例についてしばしば討論します。当初は診療も不慣れで時間がかかったり悩むこともありましたが、このような体系のおかげで徐々に診療スキルを身につけることができたと思います。
手術日は週に2回、各々曜日固定で設けられており、基本的に1日中手術室にいます。多くは白内障ですが、角膜移植も最多で1日4件行われ、その他の前眼部疾患や眼瞼の手術も行われています。最近の角膜移植の傾向としては、全層角膜移植(PKP)から角膜内皮移植(DSAEK/DMEK)や深層層状角膜移植(DALK)といったパーツ移植に移行しつつあり、術式も多様になっています。他院から手術見学にいらっしゃる先生も多く、そのレベルの高さが感じられます。とはいえ、レジデントが気になる点はまずは白内障手術がどれだけできるようになるか、というところだと思います。私は当院での手術経験しかありませんが、そちらに関しても申し分ありません。月に2回、当院へ出張ウェットラボをしていただいており、白内障の練習から角膜移植の練習まで、指導医の先生のご指導のもと腕を磨くことができます。この3年間で実に多くの症例の執刀をさせていただきました。月並みですが、やはり自分の手術で視力が上がり満足されている患者さんの声を聞くと医者冥利に尽きます。たくさん手術を行いたい方には特に当院での研修をお勧めします。
当院は研究も非常に盛んです。定期的な研究ミーティングでは個々人の研究の進捗状況が共有され、活発なやりとりがされています。当院で施行された角膜移植の症例数の多さを生かし、角膜移植に関して世界に通用する論文が多々発表されています。また、毎週抄読会が行われており、最新の知見をアップデートし続けています。日々忙しなく診療を行う中で、耳学問ではなくエビデンスに基づいた診療を行うためにも、知識のアップデートは必要不可欠なので、レジデントのうちからそのような習慣が身につくことは非常に重要だと思います。
以上3本柱について述べさせていただきましたが、どれをとっても充実した研修プログラムであることは間違いありません。少しでも当院での研修のイメージの助けになれば幸いです。